「結局、AIエージェントってどれ使えばいいの?」
2026年に入ってから、この手の質問が一気に増えました。
わかります。増えすぎなんですよ、AIツール。しかも名前だけ聞いてもピンと来ないものが多い。Manus? Claude Code? Antigravity?——なんかすごそうだけど、何がどう違うの? という気持ち、めちゃくちゃわかる。
で、私はこの3つを実際に使ってきました。
先に結論から言うと——
ぱっと見、やれることはほとんど変わらない。でも「本質」は全部違う。
この記事では、その「目に見えない違い」を、できるだけ正直にお伝えします。
まず、3つとも「AIエージェント」です
最近のAIは、ただ質問に答えるだけじゃなくなりました。
「この仕事やっておいて」とお願いすると、自分で考えて、調べて、ファイルを作って、テストして、結果を報告してくれる。
これが「AIエージェント」と呼ばれるものです。
Manus、Claude Code、Antigravity——この3つは、すべてこの「エージェント型」のAIツール。
で、表面的な機能を並べると、びっくりするくらい似ています。
| できること | Manus | Claude Code | Antigravity |
|---|---|---|---|
| コード生成 | ○ | ○ | ○ |
| ファイル操作 | ○ | ○ | ○ |
| ウェブ検索 | ○ | ○ | ○ |
| 複数ファイルの同時編集 | ○ | ○ | ○ |
| ブラウザ操作 | ○ | △ | ○ |
| ターミナル実行 | ○ | ○ | ○ |
| 画像生成 | △ | △ | ○ |
ほら、ほとんど「○」が並ぶ。
「じゃあ全部同じじゃん」って思いますよね。
でも、使い込んでいくと「思想の違い」がはっきり見えてくるんです。
Manus:「全部お任せ」型のエージェント
使ってみた第一印象
Manusを使ったとき、最初に感じたのは「すごいな」よりも「放っておける感」でした。
他のAIツールだと、途中で「次どうしますか?」「これでいいですか?」と聞かれる場面が多い。
Manusは違う。「わかりました、やっておきます」と言って、クラウド上で黙々と作業を進めてくれる。
寝る前に「この調査レポートまとめておいて」と頼んで、朝起きたら完成している。
これ、最初は感動しました。
Manusの本質:「非同期型」の自律AI
Manusの一番の特徴は非同期(Asynchronous)で動けること。
要するに、自分のパソコンを開いていなくても、クラウド上でAIが勝手に作業し続けるのです。
2025年3月に中国のスタートアップからリリースされて、その後Metaに買収されてからさらに進化しました。GAIAベンチマーク(リアルタイムの問題解決テスト)では、GPT-4を超えるスコアを出したことでも話題になりましたね。
技術的に面白いのは「マルチエージェント設計」。1つのタスクを複数の内部エージェントに分割して、計画・実行・検証を分業でやる仕組みです。
正直に感じたこと
良いところ:
- 本当に「お任せ」で動いてくれる。時間がない人には最高
- リサーチ系のタスクが特に強い。ウェブを巡回して情報をまとめてくれる
- Telegram連携など、チャットアプリから気軽に使える手軽さ
うーんと思ったところ:
- 作業過程が見えにくい。「今何やってるの?」が分からない時間がある
- クラウド上のサンドボックスで動くので、自分のパソコンのファイルを直接触れない
- 出来上がったものが微妙だったとき、どこで軌道修正すればよかったのか分かりにくい
一言でまとめると、Manusは「秘書に仕事を丸投げする感覚」に近い。
優秀な秘書ではある。でも、途中経過を自分の目で確認したい人には、ちょっとモヤモヤが残るかもしれません。
Claude Code:「職人気質」のターミナルエージェント
使ってみた第一印象
Claude Codeを起動した瞬間、「あ、これエンジニア向けだな」と思いました。
画面は真っ黒。ターミナル(コマンドライン)がドンと出てくる。
UIがない。ボタンもない。ほぼテキストだけの世界。
これを見て「無理」と思う人もいると思います。
でもね、使い始めるとこのシンプルさが武器になるんですよ。
Claude Codeの本質:「ターミナルネイティブ」の開発エージェント
Claude Codeは、Anthropic社が作ったCLI(コマンドラインインターフェース)ベースのエージェントです。
何が強いかというと、開発者のホームグラウンドであるターミナルの中で直接動くこと。
ファイルの読み書き、ターミナルコマンドの実行、テストの実行、デバッグ——全部、自分のマシン上で、目の前で起きる。
最大の武器は20万トークンのコンテキストウィンドウ。つまり、めちゃくちゃ大量のコードを一度に理解できる。プロジェクト全体を見渡して「ここをこう変えれば、こっちも直る」みたいな判断ができるのです。
正直に感じたこと
良いところ:
- 長文のコード生成の品質が圧倒的に高い。 他のツールだと4,000行を超えるとグダグダになることがあるけど、Claude Codeは安定している
- 「テストが通るまで自分で修正し続ける」ループを自動でやってくれる。これ、本当に助かる
- CI/CDパイプライン(自動ビルド・テスト・デプロイの仕組み)に組み込める柔軟さ
- 複数ファイルにまたがるリファクタリングが得意
うーんと思ったところ:
- ターミナルが怖い人には本当にハードルが高い
- ブラウザの操作はできない(UIの確認は自分でやる必要がある)
- 従量課金制なので、ヘビーに使うと月額が読みにくい
一言でまとめると、Claude Codeは「腕のいい職人に、作業場で一緒に仕事をしてもらう感覚」。
手元で何をしているかが全部見える。安心感がある。でも、作業場(ターミナル)に入る覚悟は必要。
Antigravity:「チームリーダー」型のエージェントIDE
使ってみた第一印象
Antigravityを初めて開いたとき、「あ、これは全部入りだ」と思いました。
エディタ(コードを書く画面)、エージェントマネージャー(複数のAIを管理する画面)、ブラウザ——この3つが1つのアプリに統合されている。
Google DeepMindが2025年11月にGemini 3と一緒に発表したこのツール。「エージェントファースト」を掲げていて、AIアシスタントではなくAIエージェントを前提に設計されたIDEです。
Antigravityの本質:「エンジニアリングチーム」を内蔵したIDE
Antigravityの発想がユニークなのは、「自分一人で開発しているのに、チームで開発しているような体験」を目指しているところ。
エージェントマネージャーという画面がある。ここで複数のAIエージェントが並行して動いている様子を監視できる。
あるエージェントがフロントエンドを作っている間に、別のエージェントがバックエンドのテストを書いている——そんな「分業」が自然に起きる。
しかも、エージェントがChrome拡張機能でブラウザを操作して、UIの確認やテストまでやってくれる。「ボタンを押したらちゃんとページが遷移するか」みたいな確認を、AIが自分でスクリーンショットを撮りながらやる。
これ初めて見たとき、ちょっと未来を感じました。
正直に感じたこと
良いところ:
- 作業の「見える化」が圧倒的。 「Artifacts」というマークダウンファイルで、AIが何をやったか、どう検証したかが全部記録される
- ブラウザ連携が強力。AI自身がウェブページを開いて操作・確認してくれる
- 画像生成もできるし、マルチモーダル(テキスト、画像、動画を横断して処理する)能力が高い
- VSCodeに似たUIだから、使い慣れた開発者は違和感が少ない
うーんと思ったところ:
- まだ新しいツールなので、安定性は発展途上
- Google系のモデル(Gemini)がデフォルトで、好みが分かれるかもしれない(Claude系のモデルも使えますが)
- Agent Managerの概念に慣れるまで、少し戸惑う
一言でまとめると、Antigravityは「小さなエンジニアリングチームを雇った感覚」。
一人で作業しているのに、マネージャー視点で複数のエージェントの進捗を見渡せる。斬新だけど、「チームを管理する」スキルが多少は必要になる。
本質的な違いを一枚の表にまとめる
ここまで読んで「結局、何が違うの?」と思った方のために、コアの違いだけを整理します。
| Manus | Claude Code | Antigravity | |
|---|---|---|---|
| 思想 | 全自動お任せ | 職人と共同作業 | チームで分業 |
| 動作場所 | クラウド | ローカル(自分のPC) | ローカル(自分のPC) |
| UI | ウェブブラウザ | ターミナル | IDE(統合開発環境) |
| 自律性 | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
| 透明性 | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | ★★★★★ |
| 学習コスト | ★☆☆☆☆(低い) | ★★★★☆(高い) | ★★★☆☆(中くらい) |
| 得意分野 | リサーチ、レポート | コーディング | フルスタック開発 |
| 開発元 | Meta(元Monica/Butterfly Effect) | Anthropic | Google DeepMind |
じゃあ、どれを選べばいいの?
正直に言います。万人向けの「正解」はない。
でも、こういう選び方なら失敗しにくいと思います。
「とにかく楽したい。結果だけほしい」→ Manus
作業過程には興味がない。完成物だけほしい。寝ている間に終わっていてほしい。
こういう人にはManusが合います。特にリサーチ系のタスク——「この業界の競合を10社調べて、表にまとめて」みたいな仕事は本当に強い。
「コードを書くのが仕事。細部までコントロールしたい」→ Claude Code
開発者として、生成されたコードの1行1行を自分の目で確認したい。テストが通るまで自動で回してほしい。CI/CDに組み込みたい。
こういう人はClaude Code一択です。ターミナルに抵抗がなければ、圧倒的に効率が上がる。
「一人で開発してるけど、チーム開発の体験がほしい」→ Antigravity
複数のエージェントが並行して動く。ブラウザで自動テストしてくれる。全体の進捗を管理画面で見渡せる。
一人開発なのにチーム開発の恩恵を受けたい人には、Antigravityのアプローチが新鮮だと思います。
「で、あなたはどれ使ってるの?」
全部使っています。嘘じゃないです。
使い分けはこんな感じ。
Claude Code: ガチのコーディング作業。このブログの記事生成スクリプト、WordPress自動投稿のPython、リファクタリング。とにかくコードを書く仕事はClaude Codeに任せることが多い。
Antigravity: ウェブアプリを作るとき。UIの確認までAIにやってほしい場面。新しいプロジェクトのスキャフォールディング(骨格作り)。
Manus: 調査系の仕事。「この分野の最新動向を調べて、5ページのレポートにまとめて」みたいなタスク。
ここで大事なことを1つ。
3つとも月額課金すると、なかなかの出費になります。 ManusとAntigravityのプロプランがそれぞれあり、Claude Codeは従量課金。全部合わせると月1万円を超えることもある。
とはいえ、外注に出すことを考えたら、この金額は破格だと思っています。
「ぱっと見同じ」の裏にある、本当の選択基準
最後に、この記事で一番伝えたいことを書きます。
Manus、Claude Code、Antigravity。表面的にやれることはほとんど変わりません。
でも、「AIとの付き合い方」が根本的に違う。
- Manusは「お任せ」。信頼して任せる関係。
- Claude Codeは「共同作業」。横に座って一緒に手を動かす関係。
- Antigravityは「チーム管理」。自分はリーダーとしてAIチームを動かす関係。
どれが正解かは、あなたが「AIとどういう距離感で付き合いたいか」で決まります。
「全部任せたい」のか。「一緒にやりたい」のか。「管理したい」のか。
この問いに対する自分の答えが、そのまま最適なツールの選び方になる。
AIエージェントの時代は、まだ始まったばかりです。
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