「ターミナルを開いてください」
AIエージェントを初めて使おうとしたとき、最初にぶつかったのがこれでした。
ターミナル。
……何?
いや、言葉としては聞いたことある。映画のハッカーが使ってる、あの黒い画面でしょ? でも、私のパソコンのどこにあるの? どうやって開くの? 開いたとして、何を打てばいいの?
これが正直な出発点でした。
プログラミングの知識はゼロ。IT企業に勤めた経験もない。パソコンはネットとExcelとWordが使える程度。
そんな私が、今ではAIエージェントを使って記事を量産し、ウェブサイトを構築し、Pythonスクリプトを動かしています。
「えっ、それどうやって?」 と思いますよね。
答えはシンプルで——最初に覚えることは、思ったほど多くなかった。
ただ、その「思ったほど多くなかった」にたどり着くまでに、めちゃくちゃ手間取った。
この記事は、あの頃の自分に向けて書いています。
まず「言葉」がわからなかった
AIエージェントの世界に足を踏み入れると、当たり前のように知らない言葉が飛んでくる。
エンジニアにとっては基礎の基礎なんだと思います。でも、こっちは初見です。
最初の数日間で「は?」となった言葉を、当時の自分に説明するつもりでまとめてみます。
ターミナル / コマンドライン / CLI
要するに: パソコンに「文字で命令する」ための画面。
普段、マウスでフォルダをクリックしたり、アプリのアイコンを押したりしますよね。あれの代わりに、キーボードで文字を打って操作する方法です。
Macなら「ターミナル」、Windowsなら「コマンドプロンプト」や「PowerShell」という名前のアプリが最初から入っています。
なぜ必要? AIエージェント(特にClaude Codeなど)は、ここから起動します。最初は怖いけど、やることは「コマンドをコピーして貼り付けてEnterを押す」がほとんど。
リポジトリ / レポ
要するに: プロジェクトのファイルが入った「箱」のこと。
「GitHubにリポジトリを作って」と言われたら、「ネット上にプロジェクト用のフォルダを作って」と読み替えてOK。
Git / GitHub
要するに:
- Git = ファイルの変更履歴を記録する仕組み。「セーブポイント」を作れるイメージ。
- GitHub = そのセーブポイントをネット上に保存できるサービス。
AIエージェントと一緒に作業していると、「ここまでの変更をコミット(保存)して」みたいな話が出てきます。最初は「?」ですが、要するにCtrl+S(保存)の進化版だと思えば大丈夫。
API / APIキー
要するに:
- API = ソフトウェア同士を「つなぐ窓口」。レストランのメニューみたいなもの。「このメニュー(機能)を注文(呼び出し)できますよ」という一覧。
- APIキー = その窓口を使うための「身分証」。「あなたは使っていい人ですよ」という証明書。
WordPressに記事を自動投稿するとき、AIが「WordPress REST APIを使います」と言ってくるのはこれ。「WordPressの窓口を通じて、外からデータを送りますよ」という意味。
環境変数 / .env ファイル
要するに: パスワードやAPIキーなど、人に見せちゃいけない情報を保管するメモ帳。
コードの中にパスワードを直接書くのは危険。だから、別のファイル(.env)に書いておいて、コードからは「あのファイルを見てね」と参照する。
AIエージェントに「.envファイルにAPIキーを設定してください」と言われたら、「秘密のメモ帳にパスワードを書いてね」という意味です。
npm / pip
要するに: アプリの「部品」をダウンロードしてくるコマンド。
- npm = JavaScript(ウェブ系)の部品を取ってくる
- pip = Python(スクリプト系)の部品を取ってくる
AIに「npm installを実行してください」と言われたら、「必要な部品をネットから取ってきてください」という意味。スーパーで食材を揃えるのに近い。
ディレクトリ / パス
要するに:
- ディレクトリ = フォルダのこと。エンジニアはフォルダのことをこう呼ぶ
- パス = ファイルの「住所」。
/Users/自分の名前/Documents/blog/みたいなやつ
IDE
要するに: コードを書くための専用アプリ。ワードのコード版。
VSCode(Visual Studio Code)が一番有名。メモ帳でもコードは書けるけど、IDEを使うと色がついたり補完してくれたり、作業効率が全然違う。
Markdown(マークダウン)
要するに: シンプルな記号で文章の見た目を整える書き方。
# 見出し、**太字**、- 箇条書き ——こういうやつ。この記事もMarkdownで書いています。
AIが作ってくれるファイルは、だいたいMarkdown形式(.md)。慣れると普通の文章を書くのと変わらない。
次に「何を入れればいいの?」がわからなかった
言葉の壁を越えたら、次は「じゃあ何をインストールすればいいの?」問題。
ネットで調べると、いろんなツールやアプリの名前が出てきて、全部入れなきゃいけない気がしてくる。
最初にやった失敗: 片っ端からインストールしようとして、パソコンがよくわからないアプリだらけになった。
でも実際に使い続けてわかったのは、本当に必要なものは意外と少ないということ。
実際に毎日使っているもの:これだけでいい
3ヶ月使い続けた今、「これは毎日使う。ないと困る」というものだけをリストアップします。
必須レベル ★★★(これがないと始まらない)
| ツール | 何に使う | 無料? |
|---|---|---|
| ターミナル | AIエージェントの起動、コマンド実行 | Mac標準搭載 |
| VSCode | ファイルの閲覧・編集 | 無料 |
| Google Chrome | ウェブ関連の作業全般 | 無料 |
| AIエージェント本体 | Claude Code、Antigravity等 | 有料プランが必要 |
たった4つ。 これだけで作業の8割は回ります。
あると便利 ★★☆(慣れてきたら入れる)
| ツール | 何に使う | 無料? |
|---|---|---|
| GitHub Desktop | Gitの操作をマウスでできる | 無料 |
| Node.js | JavaScript系のツールを動かすのに必要 | 無料 |
| Python | スクリプトを動かすのに必要 | 無料 |
| Homebrew(Macのみ) | 他のツールを簡単にインストールできる | 無料 |
必要になったら入れる ★☆☆(最初はいらない)
| ツール | 何に使う |
|---|---|
| Docker | 開発環境を丸ごと箱に入れる。チーム開発向け |
| Postman | APIの動作確認。本格的な開発をするとき |
| Figma | デザインツール。デザイン案を作るとき |
最初から全部入れようとしなくていい。AIエージェントに「○○が必要です」と言われたときに入れれば十分。
必要なアカウント:これも少ない
ツールだけじゃなく、アカウント(会員登録)も必要になります。
でもこれも、最初に必要なのは数個だけ。
必須アカウント
| サービス | なぜ必要 | 費用 |
|---|---|---|
| GitHub | コードの保存・管理 | 無料 |
| AIサービス(Anthropic / Google等) | エージェントを使うため | 月3,000〜20,000円 |
| WordPress(ブログをやるなら) | サイト管理 | サーバー代 月1,000円前後 |
あると便利なアカウント
| サービス | なぜ必要 |
|---|---|
| Cloudflare | ドメイン管理、CDN |
| Vercel / Netlify | ウェブアプリの公開 |
| Supabase / Firebase | データベース |
これも、必要になったときに作ればいい。最初から全部用意する必要はゼロです。
最初の1週間で覚えた「5つだけ」のコマンド
ターミナルで使うコマンド。これが一番怖かった。
でもね、3ヶ月経った今でも、日常的に自分で打つコマンドは5個くらいしかない。
AIエージェントが複雑なコマンドは全部やってくれるから。
① cd(移動する)
cd Documents/blog
「Documentsフォルダの中のblogフォルダに移動する」という意味。
パソコンの中を移動するコマンド。フォルダをダブルクリックして開くのと同じ。
② ls(中身を見る)
ls
今いるフォルダの中に何があるか一覧表示する。Macの場合はls、Windowsの場合はdir。
③ code .(VSCodeで開く)
code .
今いるフォルダをVSCodeで開く。ピリオド(.)は「今いる場所」という意味。
④ python3 ○○.py(Pythonスクリプトを実行)
python3 wp_auto_post.py
Pythonで書かれたスクリプトを動かす。「このレシピを実行して」みたいな感じ。
⑤ npm run dev(開発サーバーを起動)
npm run dev
ウェブアプリをローカルで動かして確認するコマンド。
以上。本当にこれだけ。
「え、これだけ?」と思うかもしれません。でも、これだけ覚えれば残りはAIが教えてくれるんです。
AIエージェントに「次は何をすればいい?」と聞けば、必要なコマンドを教えてくれる。しかも、何をするコマンドなのかも説明してくれる。
自分が覚えるのは5個。あとはAIに聞く。 これが非エンジニアの正しい戦い方。
慣れるまでに手間取ったこと(と、その乗り越え方)
最後に、私が実際にハマったポイントを正直に書いておきます。同じところでハマる人は多いと思うので。
①「パスが通っていない」問題
ツールをインストールしたのに、ターミナルで使おうとすると「command not found」と言われる。
原因: パソコンが「そのツールどこにあるか知らない」状態。
解決: AIに「○○が command not found と言われます」と伝えれば、パスの設定方法を教えてくれる。これは最初の1回だけ。設定したら二度とやらない。
②「権限がない」問題
何かをインストールしようとすると「Permission denied」と怒られる。
解決: コマンドの前に sudo をつけて実行する(Mac)。「管理者として実行」のコマンド版。パスワードを聞かれるので、パソコンのログインパスワードを入れる。
③「バージョンが違う」問題
「Node.js のバージョン 18 以上が必要です」と言われて、何のことかわからない。
解決: node -v で今のバージョンを確認。古ければ公式サイトから新しいのを入れ直す。AIに聞けば手順を全部教えてくれる。
④「そもそもどのフォルダでやればいいかわからない」問題
ターミナルを開いたはいいけど、自分が今パソコンのどこにいるのかわからない。
解決: pwd と打つと、今いる場所が表示される。迷子になったら cd ~ でホーム(出発点)に戻れる。
エンジニアから見たら「そんなことで?」かもしれない
この記事に書いたことは、エンジニアの方から見れば「入門以前」の内容だと思います。
でも、非エンジニアにとってはここが一番高い壁なんです。
「ターミナルって何?」「APIキーって何?」「cdって何?」
この壁さえ越えれば、あとはAIが全部サポートしてくれる。
だから、この壁を越えるための記事が必要だと思って書きました。
覚えることは5つのコマンド。入れるものは4つのアプリ。作るアカウントは3つ。
それだけで、AIエージェントの世界に入れます。
あとは、AIと一緒に走りながら覚えていけばいい。
完璧に準備してから始める必要なんてない。わからないことが出てきたら、その場でAIに聞けばいい。
それができるのが、AIエージェント時代の一番の恩恵だと思います。
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